「薫」
「る・・・・・・流浪人」
「とっくの前から流れてないでござるがな・・・・・・に・・・・・・妊婦」
「わたしのことね・・・・・・って、ぷ?」
「ぷ」
「いきなり難しいわね・・・・・・えーとね、ぷかぷか」
「ぷかぷか?」
「ほら、今日の雲がそんな感じ」
「あー・・・・・・たしかに。ぷかぷか浮かんでいるでござるな、青空に」
「こうやって眺めてるの、気持ちいいわねー」
「ああ、ちょっと吸い込まれてしまいそうな感じがする」
「じゃあ、次は、か」
「か・・・・・・かざぐるま」
「ま・・・・・・毬」
「り・・・・・・立夏」
「んー、もうそんな季節なんだよねぇ」
「これからどんどんいい陽気になるでござるな」
「うん、あっという間に夏になっちゃいそう・・・・・・か・・・・・・カナリア」
「かなりあ?」
「知らない? 西洋の鳥で可愛い声で鳴くの。今度見に行きましょうよ、飼っているお店があるの」
「それは是非・・・・・・あ・・・・・・紫陽花」
「去年見に行ったわね。梅雨の時期のお花見、綺麗だったなぁ」
「今年も行こう」
「うん、約束ね・・・・・・い・・・・・・犬」
「ぬ・・・・・・縫い物」
「野菊」
「曇り」
「竜宮城」
「ウグイス」
「・・・・・・好き」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・拙者も」
「・・・・・・もう一度、言って」
「え?! そこから続くんでござるか?!」
「もう一度!」
「・・・・・・好き」
「きゃあ・・・・・・」
「それも続けたんでござるか?」
「あ、今のは偶然」
「じゃあ・・・・・・好き、から」
「金魚」
「夜桜」
「ら・・・・・・来月、で、八ヶ月」
「夏には、産まれるんでござるなぁ」
「きっと男の子よ、お腹のなかで暴れてるもん」
「無事に産まれてくれるなら、どちらでも嬉しいでござるよ」
「うん、そうよね」
「つ・・・・・・梅雨」
「雪」
「黄粉餅」
「剣心お腹すいてるの?・・・・・・ち・・・・・・茶店」
「このあと行こうか・・・・・・せ・・・・・・煎餅」
「稲荷寿司」
「食べ物限定でござるか?」
「そんなことないわよ」
「じゃあ・・・・・・し・・・・・・幸せ」
「わたしもよ」
「・・・・・・ありがとう」
「そんなの、こっちの台詞だわ」
「薫殿」
「え?・・・・・・あ」
「ちょっとだけ」
「んっ・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・えっ、と。何だったかしら?」
「幸せ、でござるよ」
「じゃあ、せ・・・・・・蝉時雨」
「歴史」
「芝居」
「池」
「け・・・・・・剣心」
「・・・・・・ん?」
「あ、終わっちゃったわ」
「何か食べに行こうか」
「賛成ー!」
「立てるでござるか? つかまって」
「ありがとう、ねぇ剣心」
「うん?」
「このまま手、繋いでてほしいな」
「喜んで」
了。
2013.06.14
モドル。