Afternoon Tea Party









        その異国の菓子は、こんがりと綺麗なきつね色をしていた。



        見た目は煎餅に少し似ているが、それよりも小さくて、ふたくちくらいで食べられそうな大きさである。
        はじめて目にする食べ物に対しては、自然と防衛本能が働くものだ。薫と燕はそれを指でつまむとおっかなびっくりという感じで口許へと運ぶ。
        顔に近づけると、ふわりと甘い香りが鼻孔をくすぐった。感覚的に「おいしそう」な香りに後押しされるようにして、ふたりは同時に菓子を口に入れる。

        途端、薫も燕も驚いたように目を大きくして、次いでふんにゃりと表情を緩ませる。それは言葉よりも雄弁に「おいしい!」を表現している顔であった。
        弥彦は女性陣の反応を見てもまだ半信半疑というような表情だったが、ひとつ口にするや否や、続いて二個目三個目と忙しく口と手を動かし始め、薫に
        「落ち着いて食べなさいよ」と注意された。
        彼らの様子を笑って眺めていた剣心もその菓子に手をのばし、軽い歯触りと口の中に広がる甘い味に目を細める。


        「いかがですかね、お口に合えばよいのですが」
        「合うどころか!とっても美味しいです!」

        薫の返答に一同はうんうんと揃って頷き、それを見て、彼らに菓子を―――クッキーを振る舞ったテイラー夫妻が「それはよかった」と頬をほころばせる。
        なるほど、笑顔というものは万国共通なのだな、と。剣心は夫人の淹れてくれた紅茶を飲みながら、改めてそう思った。










        外国人居留地に泥棒が入り込むという事件が起こったのは、年が明ける前のことである。
        英国人であるテイラー夫妻の館から宝飾品と生きた「黒豹の子供」が盗まれ、その解決に一役買ったのが剣心と弥彦だった。
        犯人のもとを逃げ出した黒豹を「保護」してくれた彼らに、夫妻はいたく感謝をし―――それをきっかけに、剣心たちにとって少しばかり年長の、そしてはじ
        めての「外国人の友人」ができたのだった。

        「少し前に末の娘を嫁に出しましてね。黒豹たちも送り返してしまったし、何だかすっかり家の中が寂しくなったというか・・・・・・あと、暇になったというか」
        「そんなわけで、わたしはついお菓子を作りすぎてしまうわけですよ。暇を・・・・・・たたく?暇をとばす、だったかしら?」
        「暇をつぶす、です」

      
  燕の助け舟に、夫人は人差し指をぴんと立てて「そうそう、暇をつぶす、ですね」と笑う。テイラー夫人は出来た時間をもっぱらお菓子作りに費やしているら
        しく、それを振る舞いたいがためにちょくちょく客人を招いているらしい。剣心たちもそのようにして「お茶でも飲みに来ませんか」と誘われて―――こうして
        今、西洋菓子の相伴にあずかることとなったわけだ。


        「娘さんは、本国に帰られたのでござるか?」
        「いやいや、すぐ近所に住んでいますよ。今日もこの後クッキーを貰いに来るとか言ってましたが・・・・・・娘気分がなかなか抜けず、困ったものです」
        そう言うテイラー氏の口調からは、ちっとも困った様子が感じられなかった。末娘が頻繁に訪ねてくるのが嬉しいのだろう。剣心と薫は微笑ましい気持ちに
        なって、顔を見合わせる。
        「こいつらも、もうすぐ祝言なんだぜ」
        もごもごとクッキーを頬張りながら喋る弥彦を、薫は「お行儀が悪い」とたしなめようとしたが、夫妻からの「それは、おめでとうございます!」という祝いの
        言葉に遮られた。そして彼らは「日本人の祝言」に興味があるらしく、揃ってきらきらと目を輝かせる。

        「一度、花嫁行列を見たことがありますよ。あれはとても綺麗でしたねぇ・・・・・・」
        「わたしたちも、お祝いをしに行っていいでしょうか?おふたりの晴れ姿、ぜひ見たいです」
        祝ってもらうことに何の否やがあるだろうかと、剣心と薫は恐縮しながら礼を言う。弥彦の「餅搗きもするんだよな、楽しみだよなー」という言葉に、夫妻が
        はてモチツキとは何だろうかと首を傾げたとき、玄関の方で賑やかな気配がした。
        「ああ、末の娘ですよ。ちょっと失礼します」
        テイラー氏が椅子から立ち上がるのとほぼ同時にドアが開いた。夫人に似た面差しの若い女性が、青いドレスの裾を揺らして居間に飛びこんでくる。


        そして、剣心たちは固まった。
        なんとなれば、その娘が立て続けに両親に抱きついてキスをしたからである。


        抱きつく、といっても互いに軽く身体に腕を回して触れ合う程度で、キスといっても互いの頬に掠める程度口づけるくらいのものである。
        西欧人は、親しい間柄であればそういった抱擁を交わして挨拶をすることを、一同は知識としては知っていた。しかし、その様子を至近距離で目にしたの
        ははじめてだったので、しかも突然のことだったので、ただただ驚いてしまった。燕に至っては、顔から耳からうなじまで真っ赤に染まってしまっている。

        夫妻と末娘は英語で幾つか言葉を交わし、そしてテイラー氏は改めて娘を剣心たちに紹介した。明るい水色の瞳がこちらに向けられて、剣心たちは反射
        的に身構えたが―――彼女は「はじめまして、両親がお世話になっています」とはきはきとした日本語で挨拶をし、綺麗な姿勢でお辞儀をした。先程の抱
        擁とキスは完全に「家族用」のものだったらしい。四人は安堵してほっと息をつき、はじめましてと自己紹介をした。





        お茶の時間は、その後も賑やかになごやかに紡がれた。末娘がピアノの演奏を披露し、剣心たちは初めて目にする楽器が奏でる、軽やかな音色に耳を
        傾けた。お開きになる際、テイラー夫人は個々にお土産を持たせてくれた。「クッキーを気に入ってくださったようなので、でしたらこちらも是非」と勧めて
        くれたバスケットには、どうやら別のお菓子が入っているらしい。ずっしりと持ち重りのするそれをありがたく受け取り、一同は帰路についた。

        「今日はうちで夕飯食べてく?」という薫の提案に、弥彦は胸のあたりをさすりながら「いや、今日はやめとく」と首を横に振った。健康優良児である弥彦の
        強靭な胃袋にも、バターたっぷりの西洋菓子はこたえたようだ。と、いうよりは彼は皆の倍くらいの速さで倍くらいの量をたいらげていたので、夕飯が入る
        隙間がないのも当然のことかもしれない。
        「調子に乗って食べ過ぎるからよ。明日の稽古、お腹こわして休んだりしないでよ?」
        「うっせーなー、平気だよこんくらい」
        師匠に小突かれて、弥彦は大仰に顔をしかめてみせる。燕が「じゃあ、失礼します」とぺこりと頭を下げて、弥彦もじゃあなと手を上げた。


        並んで歩く弥彦と燕の後ろ姿を少しの間見送ってから、剣心と薫も道場にむかって歩き出した。









        ★










        「かすていら・・・・・・かしら?」


        バスケットに入っていたのは、紙につつまれたお菓子と、硝子瓶に入った飲み物だった。飲み物のほうは、どうやら酒のようである。
        帰宅した剣心と薫が、台所で菓子の包みを開いてみると、かすていらに似た色合いのケーキが姿をあらわした。表面の茶色い焼き色はかすていらのよう
        だが、指で押してみた感じは少し違っている。そして、ふわりと立った濃い芳香は、明らかに洋酒のそれだ。

        「そういえば、酒を使っているから長持ちすると言っていたでござるな」
        「お菓子にお酒?酒まんじゅうみたいなことかしら?」
        剣心と薫も、テイラー邸で饗された菓子でそれなりに胃袋は満たされていたが―――先程のクッキーが美味しかったこともあり、こちらのケーキにも興味
        がわいた。夕飯が入らなくなってもそれはそれで仕方ないかと言いながら、ケーキの端に包丁を入れる。
        「果物、でござろうか?」
        「あ、これって、あれに似てる・・・・・・ほら、干し柿みたいよ」
        ケーキの生地には、フルーツの洋酒漬けがたっぷりと混ぜこまれていた。剣心も薫に倣ってひとかけらを口にしてみたが、確かに、果実の柔らかな口当た
        りは干し柿に似ている。ふたりだけのお茶会のために、剣心と薫はケーキをふたりぶん切り分けた。




        「今日は、はじめてのことがいっぱいあったわね」
        ケーキを黒文字でつつきながら、薫はテイラー邸での様子を思い返し目を細める。
        西洋人の夫婦にお茶に招かれて、手作りの菓子を皆で食べながらお喋りをして、異国の楽器の音色に聴きいって―――今もこうして、土産のケーキに舌
        鼓を打っている。
        「少し前からしてみると、考えられない一日でござったなぁ」
        「少し前って?」
        「幕末の頃でござるよ」
        「剣心、それって一昔前よ」

        薫は笑ったが、剣心の言わんとしている事はよくわかっていた。
        ほんの十数年前、この国の多数の人々は「夷狄など撃ち払ってしまえ」と気炎を吐いて、国を上げて攘夷の熱に浮かされていた。しかし、時代は変わり、
        日本は新しい方向へ向かって舵をとることになった。今では、西欧諸国の進んだ技術は学ぶべき手本となっており、そういう意味では西洋の人々は先生
        であり、共存してゆくべき友人だ。


        「ほんの十数年前には、思いもよらなかったでござるよ。外国人の友人ができて、その家に招かれるなんて」
        「ほんとにそうね・・・・・・仲の良い相手が増えるのっていいことよね。喧嘩をしているより、一緒にお茶を飲んだりお菓子を食べたりするほうが、何百倍も素
        敵だもの」

        剣心は、手元の菓子から目をあげて、薫の顔を見た。
        彼女は何気ない調子で言ってはいるが、「仲がよい」とは単にテイラー夫妻を指しているだけではないのだろう。

        少し前まで、この国の人々は国のあり方をめぐって同じ国の者同士で対立をし、戦争をしていた。そしてかつては異国の者たちは、撃ち払うべき敵とみな
        されていた。けれど―――同じ国に住む者同士が争うのは悲劇しか生まないし、それは異国の者とでも同じことだ。傷つけあって血を流すより、同じテー
        ブルを囲んでお茶を飲むほうがずっと良いことで、それこそが「平和」の姿といえよう。


        「そういう今を、剣心が作ってくれたのよね」
        「それは・・・・・・拙者だけがしたことではござらんよ」
        「ええ、それもそうかもしれないけれど」
        薫は、ケーキをひときれ口にして、幸せそうに頬に手をやる。
        「新しい時代が来なかったら、わたしはこんな美味しいお菓子を食べることも出来なかったのよ?ほんとによかったわ、剣心のおかげよね」

        その言葉に、剣心は一瞬目を丸くして―――それからふっと表情を緩めた。
        薫が言っていることは、ごく単純な理屈だ。失うのは悲しいから、争わないで。より良いものは、取り入れて共有して。おいしいものは一緒に食べて、「お
        いしいね」と笑いあう。それは単純なことだけれど、だからこそ確かな説得力があった。


        罪を重ねながら、後悔を重ねながら、歩いてきた。
        新しい時代を創るためといいながらも、自分が振るう剣はただ悲しみを生み出しているだけだと、苦悩し続けた。
        けれど今、こうして君の笑顔を見ていると、ただ単純に「この笑顔を守れてよかった」と、そう思う。
        こんなふうに、何気ない日常に、誰もが笑って過ごせる世の中を―――俺は、つくりたかったんだ。


        君と一緒にいると、後悔と罪を重ねながらも俺が何を求めていたのかを―――それを、改めて思い出すことができる。


        「・・・・・・うん、確かに、これを食べられないのは大きな損失でござるな」
        「ね、そうでしょう?」
        大袈裟に真面目くさった台詞に、薫は笑って頷く。実際、かすていらを更にしっとり濃厚な口当たりにしたようなそのケーキはとても美味しくて、生地に混
        ぜられた果物も味わい深く、たっぷり使われた洋酒の香りも魅力的だった。若い娘らしく甘いものに目がない薫は、「新しい時代になったんだから、新しい
        お菓子もどんどん取り入れるべきよね」と言って、ケーキの最後の一片を頬張る。
        「これからもっと、異国の食べ物は広まってゆくのでござろうなぁ。滋養のあるものも多いでござるし」
        「音楽もね。今日聴いたピアノ、素敵だったもの」
        「けれど・・・・・・あの挨拶はいただけないでござるな。あれは広まらないほうがよいでござる」
        一瞬意味がわからず、薫はきょとんとする。そして、先程テイラー夫妻が末娘と交わしていた抱擁とキスのことだと思い当たり、ころころと笑った。

        「やだ剣心、そんな事考えていたの?でも、あれはあれで親愛の情がこもっていて素敵でしょう?」
        「いやしかし、はしたないでござろう人前でああいうことをするのは」
        「んー、そこはきっと、わたしたちとは感覚が違うんでしょうねぇ」
        「それに、親しい間柄だからこその挨拶だというのはわかるが、万一なにかの弾みでそうでない相手とあんなことになったら拙者は・・・・・・あ、いや」

        言いかけた言葉を、剣心は途中で飲み込んだ。しかし薫はそれを聞き逃さず、「え、なぁに?」と首をかしげる。
        大きな瞳に「喋るまでは逸らしません」とばかりに見つめられ、剣心は観念したように、ぐっと引き結んでいた口許をほどく。



        「万が一・・・・・・薫殿が、拙者以外の者とあんなことをしたら・・・・・・我慢がならないでござるよ」



        数回、まばたきを繰り返してから、薫の顔に笑みがあふれた。
        「剣心、やきもちやきー」
        「いや!だって嫌でござろう?!薫殿だってもし逆の立場だったら」
        「んんー、それは嫌」
        「って、薫殿?!」

        ふわり、と洋酒の香りがたって、柔らかな感触が首に絡みつく。
        唐突に抱きつかれて仰天する剣心に構わず、薫はそのまま彼の頬に唇を押しあてた。

        「かお・・・・・・る?」
        「あのね、わたしも挨拶、してみたの」
        唇を離した薫は、剣心の鼻にすりすりと自分のそれをすりつけながら、にこにこと笑う。
        これはたいへん嬉しい状況ではあるがどういうことだどうも様子がおかしいぞ―――と剣心は訝しんだが、その理由はすぐに知れた。



        とろんと潤んだ瞳に、うっすら赤く染まった目許。
        そして、かすかながら洋酒の香り。つまり―――



        「薫殿・・・・・・酔ってる?」
        「え・・・・・・?どうして・・・・・・?」
        「ほら、この菓子を食べたから、それで」
        「お菓子はたべたけれど、おさけはのんでいないもんー」

        そうは言うが、明らかに声の調子がおかしい。おそらくは、ケーキにふんだんに使われた洋酒が原因だろう。
        薫はもともと酒に強いとはいい難いし、飲み慣れない西洋の酒は、彼女と相性が悪かったのかもしれない―――いや、ケーキを食べただけでたいそう心
        地よく酔っているのだから、むしろ相性が良いというべきか。


        「薫殿、大丈夫でござるか・・・・・・?」
        「んん・・・・・・なにが・・・・・・?」
        「何がって、酔って」
        「ちがうもん、おさけはまだのんでないもん」
        「まだ?」
        「だってー、ほら。まだ、そこにあるでしょう?」
        剣心に抱きついたままの薫が、首を大きく動かして示したのは、土産に渡されたバスケットだった。
        目隠しに乗せられた格子柄の布の下から、硝子瓶がのぞいている。
        剣心は手を伸ばして瓶をつかみ、栓を抜いた。鼻を近づけると、菓子に使われているのとはまた違う酒なのだろう、酸味を伴った華やかな香りがした。

        「葡萄酒・・・・・・かな?」
        薫がしがみついたままなので幾分不自由しながらも、先程まで茶が入っていた器に、その酒を注ぐ。鮮やかに赤い液体をひとくち含んでみると、果実を発
        酵させた爽やかな味が口の中に広がる。
        「おいしい?」
        「うん、普段飲んでいる酒とはだいぶ違うが、これはこれで・・・・・・」
        「ね、わたしにもー」


        可憐な睫毛を伏せて、薫は細い首を傾ける。彼女自身は無自覚であろうがその仕草は蠱惑的で、剣心の心臓がどきりとひとつ跳ねた。
        乞われるままに、剣心は葡萄酒を口にする。顔を近づけると薫はその気配を察して、軽く唇をひらいた。

        口移しに、葡萄酒を流し込む。
        唇の端から零れた細く赤い流れが衿を汚さないように、剣心はそれを舌ですくいとってやる。


        「おいしい?」
        「んんー・・・・・・とっても、おいしい・・・・・・」
        薫はうっとりと酔眼を細めると、「ね、もっと」と要求する。しかし剣心は「あんまり飲みすぎると悪酔いするでござるよ」とそれを却下し、茶碗に残った葡萄酒
        を一息に飲み干した。
        「あー!ずるーい!」
        薫は憤慨の声をあげると、剣心に口づけた。
        彼の口内に残った葡萄酒を味わおうとして、舌を差し入れる。

        その瞬間、剣心は自分の内側に火が点ったのを自覚した。
        これしきの酒で酔うわけがないから、これは間違いなく、君が煽った熱だ。


        体重をかけて、畳の上に押し倒す。
        ほんのり血が上った首筋にがぶりと噛みつくと、甘い悲鳴があがった。
        帯から順に、身につけているものを剥ぎ取ってゆく。普段なら「まだ明るいのに・・・・・・」と苦情を訴えられるところだが、はじめて飲んだ西洋の酒は、薫の
        理性を芯から溶かしてしまったらしい。大人しく裸にされると、むしろ待ちわびていたかのように、剣心にむかって腕を伸ばした。



        ―――これはいよいよ、夕飯を食べるどころではなくなるな。
        そんな事が頭を掠めたが、すぐに消える。剣心は、とろけるような微笑みを浮かべる薫に口づけて、そこからは彼女を味わうことにただただ没頭した。









        ★








        数週間後、剣心と薫は晴れて祝言の日を迎えた。
        祝いの言葉を述べに来たテイラー夫妻は薫の美しい花嫁姿に感動し、他道場の門下生の指導のもと餅搗きにも挑戦し、振る舞われた餅を綺麗な箸使い
        でたいらげた。

        夫妻が祝いの品にと持参したのは、赤と白との葡萄酒だった。
        「この国では、この色の組み合わせは縁起がよいと聞きましたので・・・・・・」
        人の良い笑顔でそう言う夫妻から、剣心はありがたく紅白のワインを押しいただく。



        ―――薫に飲ませたら、またあんなふうに、しどけなく酔う姿が見られるのだろうか。



        新郎が不埒な想像を巡らせているとは露知らず、白無垢の薫は清らかな笑顔で夫妻に礼を述べた。












        了。







                                                                                           2016.09.17









        モドル。